(2019/4/6追記)
かなり久しぶりに読み直してみたところ、当時のテンションや読みづらい文体等々に耐え切れなくなったので文章を全体的に修正しました。内容は変えていません。
(追記終)
こんにちは。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
私は明日からネパール旅行だというのに全く荷造りできていません。そういう時ほどブログを書きたくなるのって不思議ですね。
今回は、先週行った入国管理局(入管)の被収容者との面会のことを書きます。
品川にある東京入国管理局に行ったのですが、ここにはいわゆる「不法滞在者」の外国人が収容されています。
「不法滞在者」と聞くと凶悪で危険なイメージがありますが、彼らのほとんどは難民申請中であったりオーバーステイの移住労働者だったりするだけで、出入国管理法違反ではありますが犯罪者(刑法違反者)ではありません。
犯罪者ではないですが、収容所内の処遇は犯罪者並みにひどい、とよく言われます。何度も帰国するよう脅迫される、必要な医療を受けることができない、職員から暴力を受ける等々。また、収容する期間に限りが無いためいくらでも長く収容できてしまう、という問題もあります。劣悪な環境に耐え兼ね、2001年には自殺者も出たそうです。
何故このようなことがまかり通るかというと、被収容者が「外国人」だからです。
私は法律の専門家ではないので詳細は不明ですが、日本国憲法に規定されている基本的人権は外国人に対しては「限定的にしか」適用されないということになっているらしく、日本人相手に行うと問題となる行為でも外国人相手であれば許されてしまうそうです。ふざけてますね。
今年の7月初旬にはフィリピン人75人をチャーター機で大量に強制送還するという事件もありました。
こうした、入管の収容者への非人道的な扱いに対する抗議活動の一つが、今回私が参加した面会活動です。
面会に行って被収容者と会話し、入管の中でどんなことが行われているか聞き取るだけでも、入管に対して「市民に監視されている」というプレッシャーを与えることができます。
また、被収容者の目標は「仮放免」といって一時的に入管から出ること、そして最終的なゴールは「在留特別許可証」を取得することなのですが、面会を通じてそのためのアドバイスなども行われています。
面会自体は基本的に誰でも行うことができますが、普段から面会活動をされているのは「仮放免者の会」という当事者の方々の団体や「BOND (バンド)」という団体です。
こちらの団体の活動に同行させていただくという形で今回参加しました。
既に2年ほど前にも何度か行っていたのですが、特に今回は全国の大学生による一斉面会という形で大人数が行くということで、友人に誘われたこともあり久しぶりに参加することとなりました。
2013年9月5日、朝8時に品川駅で友人と待ち合わせました。ちなみにこの日の私は4時間睡眠…。しかも朝早いため、始まる前から少し疲れ気味。対照的に友人は健康な生活を送っているのでとても元気でした。
東京入国管理局は品川駅からバスで10分ほどのところにあります。
私たちは少し早く着きすぎてしまったので、他の学生や団体の方が到着するのを待ちます。
数十分経って、他の学生達がやってきました。一緒に建物の中に入ります。
ちなみに建物の中は撮影禁止なため、残念ながら画像がありません……。
入管の中に入ったら、まず面会申請用紙を記入します。
これは被収容者一人に対して一枚なので、大人数と会うときはなかなかめんどくさいです。確か用紙データを印刷してあらかじめ書いて持って行ってもOKだったはずです。
申請用紙を書き終わったら受付に見せます。混んでいると受付に行くまでにけっこう待たされます。ここで写真入り身分証が必要です。
それが済むと、エレベーターで7階へ行きました。申請用紙を出して、持ち物チェックを通って面会室へ入ります。
面会室は透明な衝立で完全に仕切られていて、被収容者に触れたり物を直に渡したりすることはできません。どの部屋もドアと壁が白く無機質な感じがします。
今回は2人ずつ2回面会して、計4人の方とお会いしました。
以前は面会時間は15分まででしたが、30分に延びていました。以前はかなり慌ただしかったと記憶しているのでこれは助かります。
聞き取った内容については個人情報の関係であまり書けないのですが、フィリピン人の方ともお会いしました。来日から何年も経っているそうで、とても流暢な日本語を話されていました。
衝撃的だったのは、4人のうちのある方がビザの手続きだといって呼び出され、それに応じて行ったらその場で収容されたということです。かなり乱暴なやり方です。
またある方は、「体調がとても悪いのに病院へ行かせてもらえない、入管の中にいる医者が出す薬は全然効かない」と言っていました。薬が全然効かないという話は前に面会したときもよく聞きましたが、変わってないんだな、という感じです。
収容所の中での生活について聞いて欲しいという気持ちが強いのか、こちらから何も聞かなくても色々と話してくださる方が多いです。フレンドリーな方も少し気難しそうな方もいましたが、誰も恐いという感じはしませんでした。
午前の面会が終わると、建物の外で仮放免者の方による演説が始まりました。
スリランカ出身のジャンバラ=バラスリヤさん。来日してから既に14年も経っていて、今すぐ日本のビザが必要だそうです。
ナイジェリア出身のエリザベスさん。
演説を聞く学生、およそ40名。これだけの人数が面会をすることは東京入管では初とのことです。
本当はこのあと午後にも面会があったのですが、私は都合によりここまでの参加となりました。
感想としては、まず学生がこんなに多く参加していることにとても驚きました。
今回は全国の学生が特別に来ているからというのもありますが、2年前からすれば考えられないくらいの人数です。
2年前に参加した時この活動には人手が必要だろうと感じていたので、これほどたくさんの人が参加するようになったことは嬉しいです。
加えて、「労働力が必要なときは野放しにしておき、不要になったら国へ帰らせる」という入管のやり方には腹が立ちます。
日本は今のところ単純労働者を受け入れていません。でも実際は多くの外国人が単純労働者として働いていて、バブルのように好景気で安い労働力が必要なときには彼らを真剣に取り締まることは無い、と聞きます。本音では労働力が必要だからオーバーステイしていても放っておくけれど、いらなくなったら「不法」という建前を理由に捕まえるということです。
本音と建前が矛盾しているから、結果として収容の期間ややり方、ビザの発行なども全てなあなあに裁量でやることになります。
外国人の労働力が必要なら、きちんと法律を作って正面から受け入れる。もしくは、日本人の雇用を守るためにどうしても受け入れられないというのであれば、景気と関係なくしっかりと取り締まって、収容や送還のやり方についても人権が守られるよう法律を整える。
日本が法治国家を名乗るのであればそうするのが道理だと思うのですが、どうなんでしょうか。
さらに、法律の適用されない立場の弱い労働者として不法滞在者を働かせることは、日本人の労働条件を悪化させることにもつながるように思えます。
きちんと労働法を守って日本人を雇うよりも不法滞在者を雇う方が経営者にとって便利で安く済むとなると、日本人が正当な条件で働こうとしても雇用がないということになり、これまでよりも悪い条件でしか働けない、ということになりかねません。
まあ、人を安く使い倒したい悪徳経営者にとっては万々歳なのでしょうが、適法に真っ当な事業を行いたいと考えているまともな経営者や、多くの労働者にとってはデメリットしかないように見えます。
ましてや難民としての保護を申請している方については、強制的に帰還させるとその先で紛争に巻き込まれ最悪亡くなってしまうことも大いに考えられます。
ただ「不法滞在だから」という理由で強制送還することで、取り返しのつかないことになるのではないか、という視点は必要だと考えます。
ちなみに、BONDは現在学生メンバーを募集中だそうです。メンバーにならなくても、面会を一回やってみたいという形でもOKとのことです(私自身もメンバーではありません)。もちろん学生でなくても参加できます。
(2019/4/6追記)
先ほどネット検索したところ、BONDのホームページを見つけましたのでリンクを貼っておきます。現在もボランティアを募集されているようですので、ご関心のある方はこちらのお問合せから連絡されてみてはどうでしょうか。
https://nanmim-bond.amebaownd.com/
(追記終)
それにしても、今回最後の方の文章なんだか重たい感じになってしまいましたね。テーマがテーマなので仕方ないですが。
次はほぼ確実にネパールのことを書くので、もっと明るい話になるかと思います。乞うご期待。
ではでは。
かなり久しぶりに読み直してみたところ、当時のテンションや読みづらい文体等々に耐え切れなくなったので文章を全体的に修正しました。内容は変えていません。
(追記終)
こんにちは。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
私は明日からネパール旅行だというのに全く荷造りできていません。そういう時ほどブログを書きたくなるのって不思議ですね。
今回は、先週行った入国管理局(入管)の被収容者との面会のことを書きます。
品川にある東京入国管理局に行ったのですが、ここにはいわゆる「不法滞在者」の外国人が収容されています。
「不法滞在者」と聞くと凶悪で危険なイメージがありますが、彼らのほとんどは難民申請中であったりオーバーステイの移住労働者だったりするだけで、出入国管理法違反ではありますが犯罪者(刑法違反者)ではありません。
犯罪者ではないですが、収容所内の処遇は犯罪者並みにひどい、とよく言われます。何度も帰国するよう脅迫される、必要な医療を受けることができない、職員から暴力を受ける等々。また、収容する期間に限りが無いためいくらでも長く収容できてしまう、という問題もあります。劣悪な環境に耐え兼ね、2001年には自殺者も出たそうです。
何故このようなことがまかり通るかというと、被収容者が「外国人」だからです。
私は法律の専門家ではないので詳細は不明ですが、日本国憲法に規定されている基本的人権は外国人に対しては「限定的にしか」適用されないということになっているらしく、日本人相手に行うと問題となる行為でも外国人相手であれば許されてしまうそうです。ふざけてますね。
今年の7月初旬にはフィリピン人75人をチャーター機で大量に強制送還するという事件もありました。
(イメージ画像)
こうした、入管の収容者への非人道的な扱いに対する抗議活動の一つが、今回私が参加した面会活動です。
面会に行って被収容者と会話し、入管の中でどんなことが行われているか聞き取るだけでも、入管に対して「市民に監視されている」というプレッシャーを与えることができます。
また、被収容者の目標は「仮放免」といって一時的に入管から出ること、そして最終的なゴールは「在留特別許可証」を取得することなのですが、面会を通じてそのためのアドバイスなども行われています。
面会自体は基本的に誰でも行うことができますが、普段から面会活動をされているのは「仮放免者の会」という当事者の方々の団体や「BOND (バンド)」という団体です。
こちらの団体の活動に同行させていただくという形で今回参加しました。
既に2年ほど前にも何度か行っていたのですが、特に今回は全国の大学生による一斉面会という形で大人数が行くということで、友人に誘われたこともあり久しぶりに参加することとなりました。
2013年9月5日、朝8時に品川駅で友人と待ち合わせました。ちなみにこの日の私は4時間睡眠…。しかも朝早いため、始まる前から少し疲れ気味。対照的に友人は健康な生活を送っているのでとても元気でした。
東京入国管理局は品川駅からバスで10分ほどのところにあります。
(バス乗り場。表示があり分かりやすいです)
(東京入国管理局。バスを降りてすぐのところにあります)
私たちは少し早く着きすぎてしまったので、他の学生や団体の方が到着するのを待ちます。
(入り口前の行列。被収容者の人と面会するため開場前から多くの人が並んでいます)
数十分経って、他の学生達がやってきました。一緒に建物の中に入ります。
ちなみに建物の中は撮影禁止なため、残念ながら画像がありません……。
入管の中に入ったら、まず面会申請用紙を記入します。
これは被収容者一人に対して一枚なので、大人数と会うときはなかなかめんどくさいです。確か用紙データを印刷してあらかじめ書いて持って行ってもOKだったはずです。
申請用紙を書き終わったら受付に見せます。混んでいると受付に行くまでにけっこう待たされます。ここで写真入り身分証が必要です。
それが済むと、エレベーターで7階へ行きました。申請用紙を出して、持ち物チェックを通って面会室へ入ります。
面会室は透明な衝立で完全に仕切られていて、被収容者に触れたり物を直に渡したりすることはできません。どの部屋もドアと壁が白く無機質な感じがします。
今回は2人ずつ2回面会して、計4人の方とお会いしました。
以前は面会時間は15分まででしたが、30分に延びていました。以前はかなり慌ただしかったと記憶しているのでこれは助かります。
聞き取った内容については個人情報の関係であまり書けないのですが、フィリピン人の方ともお会いしました。来日から何年も経っているそうで、とても流暢な日本語を話されていました。
衝撃的だったのは、4人のうちのある方がビザの手続きだといって呼び出され、それに応じて行ったらその場で収容されたということです。かなり乱暴なやり方です。
またある方は、「体調がとても悪いのに病院へ行かせてもらえない、入管の中にいる医者が出す薬は全然効かない」と言っていました。薬が全然効かないという話は前に面会したときもよく聞きましたが、変わってないんだな、という感じです。
収容所の中での生活について聞いて欲しいという気持ちが強いのか、こちらから何も聞かなくても色々と話してくださる方が多いです。フレンドリーな方も少し気難しそうな方もいましたが、誰も恐いという感じはしませんでした。
午前の面会が終わると、建物の外で仮放免者の方による演説が始まりました。
(※以下、写真は許可を得て掲載しています)
スリランカ出身のジャンバラ=バラスリヤさん。来日してから既に14年も経っていて、今すぐ日本のビザが必要だそうです。
ナイジェリア出身のエリザベスさん。
演説を聞く学生、およそ40名。これだけの人数が面会をすることは東京入管では初とのことです。
本当はこのあと午後にも面会があったのですが、私は都合によりここまでの参加となりました。
感想としては、まず学生がこんなに多く参加していることにとても驚きました。
今回は全国の学生が特別に来ているからというのもありますが、2年前からすれば考えられないくらいの人数です。
2年前に参加した時この活動には人手が必要だろうと感じていたので、これほどたくさんの人が参加するようになったことは嬉しいです。
加えて、「労働力が必要なときは野放しにしておき、不要になったら国へ帰らせる」という入管のやり方には腹が立ちます。
日本は今のところ単純労働者を受け入れていません。でも実際は多くの外国人が単純労働者として働いていて、バブルのように好景気で安い労働力が必要なときには彼らを真剣に取り締まることは無い、と聞きます。本音では労働力が必要だからオーバーステイしていても放っておくけれど、いらなくなったら「不法」という建前を理由に捕まえるということです。
本音と建前が矛盾しているから、結果として収容の期間ややり方、ビザの発行なども全てなあなあに裁量でやることになります。
外国人の労働力が必要なら、きちんと法律を作って正面から受け入れる。もしくは、日本人の雇用を守るためにどうしても受け入れられないというのであれば、景気と関係なくしっかりと取り締まって、収容や送還のやり方についても人権が守られるよう法律を整える。
日本が法治国家を名乗るのであればそうするのが道理だと思うのですが、どうなんでしょうか。
さらに、法律の適用されない立場の弱い労働者として不法滞在者を働かせることは、日本人の労働条件を悪化させることにもつながるように思えます。
きちんと労働法を守って日本人を雇うよりも不法滞在者を雇う方が経営者にとって便利で安く済むとなると、日本人が正当な条件で働こうとしても雇用がないということになり、これまでよりも悪い条件でしか働けない、ということになりかねません。
まあ、人を安く使い倒したい悪徳経営者にとっては万々歳なのでしょうが、適法に真っ当な事業を行いたいと考えているまともな経営者や、多くの労働者にとってはデメリットしかないように見えます。
ましてや難民としての保護を申請している方については、強制的に帰還させるとその先で紛争に巻き込まれ最悪亡くなってしまうことも大いに考えられます。
ただ「不法滞在だから」という理由で強制送還することで、取り返しのつかないことになるのではないか、という視点は必要だと考えます。
ちなみに、BONDは現在学生メンバーを募集中だそうです。メンバーにならなくても、面会を一回やってみたいという形でもOKとのことです(私自身もメンバーではありません)。もちろん学生でなくても参加できます。
(2019/4/6追記)
先ほどネット検索したところ、BONDのホームページを見つけましたのでリンクを貼っておきます。現在もボランティアを募集されているようですので、ご関心のある方はこちらのお問合せから連絡されてみてはどうでしょうか。
https://nanmim-bond.amebaownd.com/
(追記終)
それにしても、今回最後の方の文章なんだか重たい感じになってしまいましたね。テーマがテーマなので仕方ないですが。
次はほぼ確実にネパールのことを書くので、もっと明るい話になるかと思います。乞うご期待。
ではでは。
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